ラヴニカのギルド プレビュー1日目、突然の衰微を彷彿とさせる新カード、《暗殺者の戦利品/Assassin’s Trophy》がお披露目されました。
さっそく当ブログでもこの1枚について考えてみたいと思います。
《暗殺者の戦利品/Assassin’s Trophy》
《暗殺者の戦利品/Assassin’s Trophy》 (黒)(緑)
インスタント対戦相手がコントロールするパーマネント1つを対象とし、それを破壊する。それのコントローラーは、自分のライブラリーから基本土地・カードを1枚探し、そのカードを戦場に出し、その後自分のライブラリーを切り直してもよい。
暗殺者の戦利品の性能について
流刑への道と名誉回復を足して2で割ったらなぜか白黒ではなく緑黒になって突然の衰微の亜種みたいなカードが出来ました。
一番近い突然の衰微と比較すると以下の通りになります。
メリット | デメリット | |
---|---|---|
突然の衰微 | 打ち消されない 土地を与えない |
対象は3マナ以下のみ 土地は壊せない |
暗殺者の戦利品 | 対象は3マナ以上もOK 土地も壊せる |
打ち消される 土地を与えてしまう |
突然の衰微と暗殺者の戦利品にはどちらもメリットデメリットがあるので、それらを天秤にかけて最終的にどちらを取るか?という話になりますね。
ここではスタン、モダン、レガシーという三つの視点で暗殺者の戦利品について考えてみます。
スタンダードにおける暗殺者の戦利品
スタンダード環境はまだどうなるか分からないので正直なところ何とも言えません。
ただ、次期環境に残るであろう緑単にタッチ黒して雑に突っ込むだけでも十分活躍できそうです。
●30 Creatures
4 《緑地帯の暴れ者/Greenbelt Rampager》
4 《ラノワールのエルフ/Llanowar Elves》
4 《茨の副官/Thorn Lieutenant》
4 《屑鉄場のたかり屋/Scrapheap Scrounger》
4 《鉄葉のチャンピオン/Steel Leaf Champion》
4 《打ち壊すブロントドン/Thrashing Brontodon》
3 《不屈の神ロナス/Rhonas the Indomitable》
3 《原初の飢え、ガルタ/Ghalta, Primal Hunger》
●6 Other Spell
3 《顕在的防御/Blossoming Defense》
3 《キランの真意号/Heart of Kiran》
●24 Lands
12 《森/Forest》
4 《ハシェプのオアシス/Hashep Oasis》
4 《花盛りの湿地/Blooming Marsh》
4 《森林の墓地/Woodland Cemetery》
●15 Sideboard
4 《強迫/Duress》
3 《蔦草牝馬/Vine Mare》
1 《英雄的介入/Heroic Intervention》
2 《自然の流儀/Nature’s Way》
1 《最古再誕/The Eldest Reborn》
2 《霊気圏の収集艇/Aethersphere Harvester》
2 《ビビアン・リード/Vivien Reid》
とりあえず、これ以外の緑と黒の他のカードがよっっっぽど弱いという事態でも起きない限り、今後2年間はずっと使われ続けるでしょう。
次期環境は今でさえブイブイに言わせているドミナリアの英雄、テフェリーをどうするか?という問題が出てきます。暗殺者の戦利品はそれに対する強烈な回答となりそうです。
モダンにおける暗殺者の戦利品
暗殺者の戦利品は言うまでもなく、ジャンドを始めとした緑黒デッキの救世主になる可能性が高いと思います。(当たり前ですけど)
モダンはレガシーと違って不毛の大地がありません。そのため土地コンボのトロンが常にトップメタに居座っているせいで土地対策が欠かせません。
モダンのジャンドは全方位デッキとしての丸さが魅力で、大体のマッチで五分五分の良いゲームができます。ところが唯一土地だけは触るのが苦手で、トロンには苦戦を強いられてきました。
そのため土地コンボに腐りやすい突然の衰微が逆に土地コンボに有用な暗殺者の戦利品に置き換えられるとなれば、ジャンドのトロンに対する相性が劇的に変わるかもしれません。
ここ最近でも減衰球という強烈なトロン対策が刷られたばかりですが、あれは結局のところサイドカードでしかないため4積は無理でした。(設置できると超強かったですけど。)
しかしメインから突っ込める対策カードとなると、意味合いが全く異なります。レガシーで死儀礼のシャーマンがドレッジとリアニメイトを隅に追いやったのと同じように、トロンとジャンドの相性差は今後はかなり変わってくるのではないかと思います。
これ以外にも暗殺者の戦利品は青白が使うジェイスとテフェリーを除去して主導権を握らせないようにしたり、血編み鬣のエルフのハズレ確率を減らしたり、様々な場面で活躍することが予想されます。
仮に暗殺者の戦利品の対象範囲が4マナ以下とかであればまだ突然の衰微を使う理由もありました。しかし範囲指定無しの万能除去となると、土地を1枚差し出すデメリットも全然許容できるのではないでしょうか。
そのため現在モダンに存在する突然の衰微はラヴニカのギルド以降、ほぼ全て暗殺者の戦利品に入れ替えられてもおかしくはないと思います。
レガシーにおける暗殺者の戦利品
レガシーには不毛の大地が存在するので環境の主要デッキにトロンのような土地コンボがありません。
また、レガシーはカウンターが強く、モダンよりも低マナ圏のパーマネントで勝負するゲームが多いので、突然の衰微の方が環境的にはマッチしているようにも見えます。
突然の衰微を暗殺者の戦利品に置き換えたせいで秘密を掘り下げる者や若き紅蓮術師に打った暗殺者の戦利品がカウンターされて負け―、みたいなゲームは十分あり得るでしょう。
確かに相殺独楽全盛期やグリデル全盛期の環境だったら「打ち消されない」ことの価値が非常に大きかったのでその当時に暗殺者の戦利品があったとしても突然の衰微が優先された可能性はあったと思います。
しかし禁止改定を受けて、「打ち消されない」ことの優位性は下がりました。
それに近年は4マナ以上の強力なパーマネントも多数活躍しているため、暗殺者の戦利品の受けの広さにもかなりの魅力を感じます。精神を刻む者ジェイス、グルマグのアンコウ、騙し打ちを壊せる突然の衰微!って書くとなんだかとっても強そうに見えてきます。
ここから、モダンと同じようにレガシーでも突然の衰微はほとんどが暗殺者の戦利品に置き換わるのではないかと個人的には思います。(例えば、今まで突然の衰微2枚、大渦の脈動1枚だったデッキが、暗殺者の戦利品3枚、突然の衰微1枚みたいになる可能性は十分あると思います。)
ただし、死儀礼のシャーマンが禁止になって以降、緑黒ベースのデッキは下火なので暗殺者の戦利品もそこらじゅうで頻繁に見るってことはなさそうです。
また、暗殺者の戦利品がどれだけ優秀なカードであっても単なる2マナ除去でしかありません。これを得たからといってレガシーの緑黒系デッキが劇的に強化され一躍トップメタに躍り出る・・・というのはちょっと考えづらいものがあります。
ゴブリン視点での暗殺者の戦利品について思うところ
ここまで長々と書きましたが、ようやく本題です。
結論から先に書くと、ゴブリン目線でいえば、突然の衰微が暗殺者の戦利品に置き換えられるのは若干プラス だと思います。
その理由は何といっても土地が提供されるという点。ゴブリンはとにかくマナ食いデッキなので土地が1枚増えることの有難みが他のデッキとは段違いです。
例えばの話、今まで2ターン目に霊気の薬瓶に飛んできた突然の衰微が暗殺者の戦利品になったら、3ターン目はいきなりゴブリンの首謀者を走らせることができます。この変化はゴブリン的には相当有難いですよね。
緑黒ベースのデッキとはリソースゲーの勝負になることが多いので、この傾向がより顕著に出ます。
また、ゴブリンは赤単ベースのデッキなので仮に暗殺者の戦利品が大流行して山を増やす必要性が出た場合でも基本に帰れを入れたいグリクシスコントロールのように、土地構成に負担をかけずともスムーズに基本地形を増やせます。
そしてこれはレアケースですが暗殺者の戦利品は打ち消し耐性が無いので、虚空の杯(2)でシャットアウトできてしまいます。2マナ圏が強い緑黒系デッキに対してこれは結構大きいですよね。
唯一、暗殺者の戦利品の嫌な所として4マナ以上のゴブリンがラクに対処されてしまう、という点があります。これは従来の対緑黒においては4マナ以上が除去体制として働いていた点を考えれば大きな痛手です。
しかし霊気紛争で致命的な一押しが出た瞬間から4マナ以上=除去体制という考えも相当怪しくなっていたので、今更4マナ以上を除去できるカードが増えたからといって、状況はそんなに変わらないんじゃないかと思います。
暗殺者の戦利品について まとめ
暗殺者の戦利品についての初見はこんな感じです。
流刑への道以来、今までありそうでなかった相手に土地を与える超実用的なピン除去。しかもそれが突然の衰微のリメイクとくれば興奮しないわけがありませんよね。
実際に使われてみないことにはその真価は分からないので、恐らく過大評価している部分はあると思います。しかし、それを差し引いても今後あらゆるフォーマットで見かけることになるのは間違いないでしょう。
ゴブリン的にはジャンジャン流行って突然の衰微を減らしてほしいもんですね。