日本時間の4月3日、海外掲示板「微博」マジック公式アカウントより、『灯争大戦』収録カード《ブリキ通りの重鎮、クレンコ》が公開されました。
さっそく当ブログでも考察してみます。
ブリキ通りの重鎮、クレンコ
《ブリキ通りの頭目、クレンコ(仮)》(2)(赤)
伝説のクリーチャー – ゴブリンブリキ通りの重鎮、クレンコが攻撃するたび、その上に+1/+1カウンターを1つ置く。その後、クレンコのパワーに等しい数の赤の1/1のゴブリン・クリーチャー・トークンを生成する。
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超強そう!!!
ただでさえ賢かった軍勢の戦親分が更に賢くなって早くも帰ってきました。
部下に強制アタックを強いることなく、自ら先陣を切って敵陣に切り込む姿はまさに上司の鑑。レガシーのゴブリンには軍勢の戦親分以上にピッタリな1枚だと思います。
M19とラヴニカのギルドに続き、まさか灯争大戦でも実践レベル新戦力が刷られるとは・・・盆と正月に続いてGWまで一度にやってきた感じです。
ゴブリンの熟練扇動者、軍勢の戦親分とブリキ通りの重鎮、クレンコの比較
軍勢の戦親分、ゴブリンの熟練扇動者
それぞれのダメージ量と生み出すトークン数の推移は以下の通りです。
出したターン | 1ターン後 | 2ターン後 | 3ターン後 | 合計 | |
---|---|---|---|---|---|
熟練扇動者 | 1点、1体 | 6点、2体 | 8点、3体 | 10点、4体 | 25点、4体 |
戦親分 | 1点、1体 | 5点、2体 | 7点、3体 | 9点、4体 | 22点、4体 |
重鎮クレンコ | 0点、0体 | 2点、2体 | 5点、5体 | 9点、9体 | 16点、9体 |
こうして一覧にしてみるとブリキ通りの重鎮クレンコは先輩2つと比べてかなり異質です。
出したターンは何もせず、1回目のアタックでようやくトントン、2回目のアタックからやっと本気を出すという立ち上がりの遅さは目に付きますが、トークンの増加スピードは圧倒的。旧クレンコが持っていた能力を見事ラブルマスターの金型に落とし込んだ印象を受けます。
モダン・ゴブリンのようなスピード命のデッキでは絶対に採用されないタイプのカードですが、レガシー・ゴブリンのようなコントロール気味に動くデッキでは新クレンコが最もマッチしているように感じます。
ブリキ通りの重鎮、クレンコの良い点
1.戦闘がめちゃくちゃ強い
ゴブリンの熟練扇動者は自身もトークンも強化しない代わりにステータスをダメージに全振りしています。(攻撃力全振り)
軍勢の戦親分は自身を強化しないかわりにトークンを強くしてダメージもそこそこの中道派を行っています。(バランス型)
そして今回の新クレンコ。ダメージ量が少なく、トークンも強化しない代わりに、自身をモリモリ強化していきます。(防御力偏重) そのため戦闘面で前者二つよりもめちゃくちゃ安心感があります。
まず、ブリキ通りの重鎮クレンコは最初のアタック時で既に2/3なのでパワー2のブロッカーの前にモジモジすることがありません。
また、サイズは徐々に上がっていくので、越えられるクリーチャーもどんどん増えてきます。
例えば軍勢の戦親分だったら真の名の宿敵やトレストの使者レオヴォルトとは基本的に睨み合いになってしまいます。
しかし新クレンコは違います。
隣に酋長がいたり先に一発でも殴れていたら、返しでこれらを出されても、もう3/4に成長するので、とき既に遅し。睨み合いすら許さない一方的なダメージレースを強要できてしまいます。
単品でネメシスやレオヴォルドとガチれるゴブリン、って書くとすごく強そうに聞こえませんか?
また、伝説クリーチャーということで、今までネタ枠の域を出なかった血に染まりし城砦、真火を大真面目に採用できるようになったのも嬉しいですね。
(赤マナとタップで伝説クリーチャーに先制攻撃を付与できる!)
これで唯一の弱点だった悪意の大梟や、2/2によるダブルブロックが多い日でも安心して突っ込めます。
2.ダメージ除去への耐性が高い
何ターン生き続けようが2/2の熟練扇動者、軍勢の戦親分と違って新クレンコは自身がモリモリ成長していくので、ダメージ除去への耐性がとても高いです。
ワンパンで罰する火やコラガンの命令、火と氷の剣の射程範囲外になり、運よく2パンできたなら稲妻すら届かなくなります。
そうなるとグリクシスデルバーなどは回答がグルマグのアンコウくらいしかない状態になるのでゲームを大幅に有利に進められそうです。
3.グリセルブランド、殴打頭蓋、梅澤の十手に悶絶死しない
ブリキ通りの重鎮クレンコで特に注目したいのが強制アタックが消えたという点です。
軍勢の戦親分を入れたタイプのゴブリンだとデスタクやスニークショー相手なのにサイド構成の事情からGame2以降も戦親分を全抜きはできないという状況が結構あって、サイドボーディングではいつも頭を抱えていました。
で、案の定1/1トークンがグリセルブランドや装備品に万歳アタックして阿鼻叫喚というシーンが幾度とありました。
しかし、新クレンコであればその問題も完全になくなります。むしろ、後述するKarakasと合わせて、十手を誘発させない、絆魂で回復させないという芸道すらできるようになったので、すごくやりやすくなりました。
今後、爆笑レベルの万歳アタックが無くなるどころか、攻撃時の装備品すら無効にできる可能性が出来たは本当に嬉しい限りです。去年の秋以降、純正の青白石鍛冶が徐々に数を増やしてきたので、この変更はとても大きいように感じます。
4.Karakasとすこぶる相性が良い
そして4点目として、伝説クリーチャーなのでKarakasを能動的に使えるというのも高評価ポイントです。
旧来のゴブリンはデスタクのサリアのように伝説クリーチャーを複数枚積むデッキではありませんでした。
そのためKarakasを入れたとしても能動的に使うシーンは滅多に無く、その持ち味を十分には生かせてなかったのですが、ブリキ通りの重鎮クレンコが入るとなると話は別です。
除去からの避難はもちろんのこと、万歳アタックになる状況でハンドに戻してトークンを出し逃げするという詐欺くさい動きが可能なので、今後のゴブリンはデスタク以上にKarakasを強く運用できるかもしれません。(出し逃げはMaze of Ithでも可能なので、アグロローム辺りがもしかしたら使うかも・・・?)
デスタクに入っている伝説クリーチャーは基本サリア4枚ですが、新環境のゴブリンはやろうと思えば、新旧クレンコ、キキジキ合わせて5枚くらいはいけそうですからね。しかもサーチ手段はデスタクがせいぜい護衛募集員2~3枚なのに対してゴブリンは女看守が4枚。
伝説クリーチャーが4枚しかないデスタクであれだけkarakasが活躍している前例からして、伝説クリーチャーを5枚も採用したゴブリンならKarakasはさぞかし強力なんじゃないでしょうか。
新クレンコの強さ次第では、ひょっとしたら不毛の大地やリシャーダの港を削ってでもKarakasを優先するような構築もワンチャンありえるかもしれません。
ブリキ通りの重鎮、クレンコの悪い点
ベタ褒めした新クレンコですが、もちろん悪い所もあります。
1.立ち上がりが遅い
最初の方に書きましたが、ブリキ通りの重鎮クレンコは唱えたターン何もしないためとにかく立ち上がりが遅いです。
相手がグリクシスコントロールやデスタクならクロックの遅さは全く問題になりませんが、1ターン差がものをいう対URデルバーや対コンボの場合は明らかに軍勢の戦親分の方が優れているでしょう。
2.伝説なのでKarakasで戻される。複数は並べられない
伝説なので自分のKarakasで利用できる一方、相手のKarakasで戻されるというデメリットもあります。しかし、現在karakasをガッツリ使うデッキといえばデスタクくらいしかなく、そのデスタクにしても自分のKarakasや真火の対象にできるメリットの方が大きいと思うので、ここはあまり問題ないと思います。
複数体は並べられない問題も、1体目を万歳アタックで1/1トークン2体に変換させればハンドの2体目も無駄牌にはならないので、2枚目は完全に腐るサリアよりマシでしょう。
ブリキ通りの重鎮、クレンコについて、まとめ
軍勢の戦親分は熟練扇動者の軽いリメイク程度だったので使い勝手やカード強さも大体想像できました。一方、ブリキ通りの重鎮クレンコは先輩2枚と比べて明らかに異質なので実戦でどう動くのか今からワクワクしています。
もしかしたら、ブリキ通りの重鎮クレンコは軍勢の戦親分の時と同じでゴブリンよりも赤単プリズンを更に強化する1枚になるかもしれません。そういう意味でも期待大ですね。(ゴブリンは赤単プリズンに相性がとても良いため)
いずれにしても、軍勢の戦親分の登場から半年でまさかの同型カード、それも軍勢の戦親分よりもゴブリンデッキにマッチしてそうなカードが刷られるとは全く予想していなかったので、とにかく嬉しいの一言に尽きます。
灯争大戦リリース後はまたぼちぼちMOに籠って、新クレンコを用いたゴブリンの最適な構成を探す日々に没頭したいと思います。