【MOモダンリーグ】9月27日(金)エンバレス城によってモダン・ゴブリンがまた強化!禁止改定後の環境について考察

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9月27日(金) MOでもエルドレインの王権のプレリリースが始まり、この日からエルドレインのカードが使用可能となりました。

今回はエンバレス城の加入で更にパワーアップしたモダン・ゴブリンで5-0できたので調整メモを記録しておきます。

実際に5-0したモダン・ゴブリンについて

●30 Creatures
4 《巣穴の煽動者/Warren Instigator》
4 《飛び道具の達人/Munitions Expert》
4 《ゴブリンの女看守/Goblin Matron》
4 《ゴブリンの首謀者/Goblin Ringleader》
3 《ゴブリンの酋長/Goblin Chieftain》
3 《軍勢の戦親分/Legion Warboss》
2 《ゴブリンの群衆追い/Goblin Piledriver》
2 《群衆の親分、クレンコ/Krenko, Mob Boss》
1 《ゴブリンのクレーター掘り/Goblin Cratermaker》
1 《モグの戦争司令官/Mogg War Marshal》
1 《ゴブリンの損壊名手/Goblin Trashmaster》
1 《投石攻撃の副官/Sling-Gang Lieutenant》

●8 Other Spell
4 《霊気の薬瓶/AEther Vial》
4 《タール火/Tarfire》

●22 Lands
4 《山/Mountain》
4 《エンバレス城/Castle Embereth》
3 《変わり谷/Mutavault》
2 《沸騰する小湖/Scalding Tarn》
2 《乾燥台地/Arid Mesa》
2 《血染めのぬかるみ/Bloodstained Mire》
1 《樹木茂る山麓/Wooded Foothills》
2 《血の墓所/Blood Crypt》
1 《聖なる鋳造所/Sacred Foundry》
1 《無声開拓地/Silent Clearing》

●15 Sideboard
4 《高山の月/Alpine Moon》
3 《安らかなる眠り/Rest in Peace》
3 《石のような静寂/Stony Silence》
2 《崇拝/Worship》
1 《ゴブリンの鎖回し/Goblin Chainwhirler》
1 《ゴブリンの損壊名手/Goblin Trashmaster》
1 《ヤスデ団/Earwig Squad》

対戦結果

ラウンド 対戦相手 結果
Round 1(後手) Blue Moon ○○
Round 2(先手) Tron ○○
Round 3(後手) Blue Moon ○○
Round 4(先手) Urza Thopter ×○○
Round 5(後手) Burn ○×○

トロン、ウルザソプター、バーンはどれもサイドボードが活躍して勝ち。なぜか2回当たったブルームーンは青いコモン土地(神秘の聖域)を採用してて、青コマ+瞬唱+聖域で雁字搦めにさせられそうになるも勝ててよかったです。

採用した各カードについて

ベースは7月頭に使ったリストと変わりません。ただ、禁止改定とエンバレス城の加入によって細部が多少変わっているのでその点についてまとめます。

【MOモダンリーグ】7月12日(金)ゴブリンの首謀者の力で5-0 モダン・ゴブリンについて考察(前編)
7月8日の禁止改定で遂に黄泉からの橋が禁止され、モダンでようやくゴブリンをまともに回せる環境になりました。今回は首謀者の加入で遂に実戦レベルに達したゴブリンデッキでさっそく5-0できたので、調整段階の思考メモを残しておきます

エンバレス城は4枚!

エンバレス城

まず最初に今回の主役、エンバレス城について。

ダブると2枚目以降がニートになるので最初は3枚でやっていました。しかし、リソースゲーになりやすいジャンドが増えたことや、1ターン差を競う対アンフェアでは4,5ターン目のエンバレス城の有無が勝敗に直結するシーンが多々あったので絶対に引くためにMAX4枚に落ち着きました。

ターンを返すと無限コンボが決まりそうな状況で勝ち逃げしたり、5/5や6/6のファッティに対して1/1ゴブリン3体が6点クロックとして睨み合いに持ち込めたり、予想通りとても強力な土地でした。4マナ起動で+1/+1修正が適正だったと思います。3マナ起動はやりすぎ。

実際これのお陰でR4の対バーンは勝てたほど。

これが伝説だったり、コモンのドワーフの鉱山が実用レベルだったらエンバレス城の3枚差しもあったと思います。が、現実はそのどちらの線もハズれ、かつエンバレス城より強い能力持ちの土地はモダンには存在しないので今後も4枚固定でいくと思います。

稲妻の不採用 タール火の起用

タール火

元々4枚入っていた稲妻の枠ですが、今回は全てタール火に席を譲りました。理由は2つあります。

1.人間アグロの衰退

モダンホライゾン発売~石鍛冶解禁までの間、モダンにおけるビートダウンといえば人間アグロが頂点に立っていました。あのホガークに対して人間アグロは数少ない有利の付くデッキとして、そこそこの使用者数を誇っていたのは記憶に新しいところです。

しかし後述するジャンドがレン6を得て勢力を増してきたことや、ホガーク禁止&石鍛冶解禁&トロン復活など、向かい風に次ぐ向かい風で人間アグロは目に見えて使用者が減っていきました。

7月時点で稲妻を採用していた最大の理由は人間アグロのタフネス3を焼くことにありました。したがって標的の人間アグロが減ったのならもはや稲妻に固執する理由はありません。

2.ジャンドの復権

モダンホライゾン発売直後はホガークの陰に隠れていまいち地味だったジャンドですが、レン6によってふたたびモダンのTier1に躍り出てGPを優勝するまでに復権しました。

加えて石鍛冶が解禁されたことで、それに強いコラガンの命令を上手く使えるデッキということもあって、使用者をグングン伸ばしていきました。

ゴブリンVSジャンドはレガシーと同様でとにかくアドバンテージを稼いだ方が勝ちという勝負なので、ゴブリンカウントは1枚でも多い方が有利です。タルモゴイフの存在を考えるとタール火自体は全くもって良い選択肢とは言えませんが、ゴブリンの首謀者の打率を少しでも上げるために稲妻から全てこちらに変更しました。

マナベースについて

エンバレス城以外のマナベースについて。マナベース考える上で、まず最初にクリアしたい条件は以下の8つでした。

  • 23枚だとフラッドするので22枚に収めたい
  • エンバレス城は4積したい
  • 《山/Mountain》は最低4枚は欲しい
  • 基本タイプ・山持ちの土地は14枚は欲しい
  • フェッチの枚数はサーチ先≧フェッチにしたい
  • ショックランドは3枚までに抑えたい
  • 黒マナ・ソースは10枚は欲しい
  • 白マナ・ソースは9枚は欲しい

これら条件全てを満たすのが今回のマナベースです。ほぼ赤単のデッキに無声開拓地が1枚採用されてるのは奇妙ですが、それはこういった事情からです。ジャンドの存在を考慮すると本当は変わり谷も限界まで積みたかったのですが、どうしてもスペースを作れなかったので泣く泣く梢ランドで妥協することに。

ただ、このマナベースだと魂の洞窟も婆のあばら屋も使わないので、お財布にとても優しく経済的です。

※もし上記の条件を満たした上で更に良い構成を練れるマナベース警察の人がいたらコメント欄にお願いします。

サイドボードについて

4枚:高山の月

高山の月

むかしむかしを採用したトロンが激増すると思ったので土地コンボ枠はガッツリ4枚。

以前まで土地コンボといえばトロン>アミュレット>ヴァラクートの順でしたが、M20で死者の原野が登場し石鍛冶解禁→トロン隆盛という流れを受けて下火だったヴァラクートが復権しました。

エルドレインでは更にこれを強化するであろうドワーフの鉱山(赤のコモン土地)が登場したことで、トロンと並行してヴァラクートとの遭遇率も増すと思ったので、「トロン・アミュレット」を見る減衰球から「トロン・ヴァラクート」を見る高山の月に変えました。

対アミュレットはタール火でも運がよければ妨害になって、かつ減衰球は巣穴の煽動者とマナ圏が被って喧嘩しがちだったので、高山の月を採用した今の構成の方が合理的で個人的には好きです。

3枚:安らかなる眠り

墓地対策兼、ジャンド対策兼、ウルザソプター対策。

モダンは対策すべきデッキが多いので、1枚でメタデッキを3種も見れる安らかなる眠りはマナベースに負荷をかけタッチ白をしてでも入れる価値はあると思います。

赤黒の場合、ここが大祖始の遺産や虚空の力線になりジャンドとウルザソプターの両面受けは出来なくなってしまうので、そういう意味でも受けの広いタッチ白は是非やりたいところです。

3枚:石のような静寂

石のような静寂

トロン対策兼、ウルザソプター対策

モダンは対策すべきデッキが多いので、1枚でメタデッキを2種も見れる石のような静寂はマナベースに負荷をかけタッチ白をしてでも入れる価値はあると思います。

赤黒の場合、ここが真髄の針などになって1枚での完封は不可能になるため、そういう意味でも受けの広いタッチ白は是非やりたいところです。

2枚:崇拝

崇拝

主にバーン対策として。

元々この枠は集団的蛮行を入れていました。ところが他のデッキと違い干渉手段の乏しいゴブリンに集団的蛮行を2枚入れた程度では焼け石に水な感じは否めず、バーンとの相性差を覆すことはできませんでした。

そこで1枚で勝てるカードとして崇拝に登板してもらいました。先達or速槍をタール火で焼いて煽動者に火力を打たせて戦親分→崇拝と繋げれば大体勝ちです。バーン以外だと死の影や人間アグロや鱗親和、呪禁オーラなどアグロ全般にサイドインできるので中々重宝します。

 


モダン・ゴブリンは赤黒だとサイドボードが弱すぎて諦めないといけないデッキが多すぎるという弱点があります。その点、白いサイドカードは多くのTier1を対策できて、実際に今回のトロン、ウルザソプター、バーン戦ではどれも決定的な働きをしてくれたので今後もタッチ白は続けていきます。

禁止改定を受けて、ゴブリンの立ち位置は

丁度1か月前の話。かなり旬を逃した感はありますが、触れておきます。

甦る死滅都市ホガーク、信仰無き物あさり 禁止

どちらの禁止もプラスに働きました。

ホガークヴァインにしても、信仰無き物あさりを用いたイゼフェニ・ドレッジにしても、環境を代表する高速デッキ。ゴブリンが苦手なのは足の速いアンフェアデッキなので、それが消滅or弱体化したのは100%プラスでしかありません。

後手2ターン目の安らかなる眠りが間に合わない環境は明らかに不健全だったので、この禁止は妥当だったと思います。

信仰無き物あさりの禁止は影響が大きいので最初はやりすぎかと思いましたが、ドレッジもマルドゥパイロマンサーもその後元気に活動しているみたいなので、良い禁止だったと思います。

グリセルシュートは・・・まぁ・・・

石鍛冶の神秘家 解禁

最初はかなり頭を抱えました。巣穴の煽動者はラッキーと違って先手・後手に関わらず絶対に石鍛冶に通せんぼされてしまうからです。

しかし実際に蓋を開けてみて何度か対戦を繰り返すと、石鍛冶の解禁はゴブリンにとってプラスに働いたと考えを改めるようになりました。

理由1:そもそもゴブリンは白い中速デッキに有利

石鍛冶を用いたデッキはすべからくクリーチャー主体の中速フェアデッキです。そしてゴブリンはクリーチャー主体のフェアデッキに強いフェアデッキというポディション。そもそも石鍛冶デッキには構造的に有利です。

理由2:モダン・ゴブリンはレガシー以上に石鍛冶に強い構成になっている

自分が使っているモダン・ゴブリンは1マナ枠に除去を4枚入れています。そのためレガシーと違って石鍛冶を出されても召喚酔いが明ける前に高確率で除去できてしまいました。

即除去できるのであれば石鍛冶の一番の脅威、殴打頭蓋もただの5マナカード、適正レベルです。むしろ、クレーター掘りや損壊名手で難なく対処できるようになった今のゴブリンなら土地フルタップからの殴打頭蓋は他のスペルよりラクな可能性まであります。これを受けて、最初は1枚まで減らした軍勢の戦親分もすぐに3枚まで戻したほど。

理由3:石鍛冶デッキ側のカード不足

石鍛冶の解禁がゴブリンにとって追い風になっている最大の理由は石鍛冶側のパーツ不足にあります。

レガシーと違ってモダンの石鍛冶デッキに梅澤の十手はありません。ネメシスもいません。バックアップするWillも弱いFoNに置き換わっており、StPに至っては撃たれて嬉しいことも多い流刑への道に超弱体化しています

レガシーでは絶対王者だった火と氷の剣のスペースもモダンの青白石鍛冶だと饗宴と飢餓の剣で、他の石鍛冶系デッキでも使う装備品はまちまち。どの装備品がベストか未だに答えは出ていません。

最初に石鍛冶解禁と聞いて、自分はレガシーでの強い石鍛冶を想像しました。しかし、実際に蓋を開けてみるとそれをサポートするカードの少なさや環境の違いから、モダンにおける石鍛冶はレガシー環境における石鍛冶ではなく、スタンダードのCawBlade時代の延長にあるような別物のカードでした。

レガシーのデッキを基準(100点)とすると、モダン・ゴブリンは85点くらいですが、モダン・石鍛冶は55点くらいまでパワーダウンしてしまった印象です。

どちらも弱体化はしていますが、石鍛冶デッキの方がより弱体化が激しいので、それもモダンにおける対石鍛冶が苦でない理由として挙げられます。

エンバレス城加入後のゴブリンについて、まとめ

精霊龍の安息地が公開された時にこんな呟きをしましたが、あれから4年半、ようやくゴブリンにも4積する価値のある強力な土地が与えられました。

エレンバス城は実際に使ってみると見た目以上に強力で、これがモダン・ゴブリンに与えるインパクトはレガシー・ゴブリンに魂の洞窟が加入した時の衝撃と同じか下手したらそれ以上だと思います。

エレンバス城はデッキを大幅強化しただけでなく、これによって値段的にネックだった婆のあばら屋と魂の洞窟無しでもマナベースが成立するようになりました。

今のゴブリンはローグデッキの中では安くて美味い(そこそこ勝てる)モダン屈指のコスパの良さだと思うので、興味のある人はぜひ一度組んでみて下さい。

余談:『THEROS BEYOND DEATH』『IKORIA』『Core2021』『ZENDIKAR RISING』について

モダンホライゾン、M20、ロンドンマリガン、禁止改定、そして今回のエレンバス城・・・と、モダンゴブリンは成立からまだ3か月しか経っていませんが、その情勢は加速度的に良くなっていくばかり。

次の『THEROS BEYOND DEATH』、はテーロス次元なのでゴブリン不在でお休みです。

しかし、その次の『IKORIA』は巨大な化物をフィーチャーした次元らしいので、化物のオヤツとして どーせゴブリンも収録されるでしょう。

そして来年夏の『Core2021』。今年の『Core2020』ではそれまで存在価値のなかった風景の変容に仕事を与えるべく死者の原野を収録したり、イクサラン以降ほぼ空気だった吸血鬼部族を最後に一花咲かせるために傲慢な血王ソリンや漆黒軍の騎士を入れるなど、明らかにセット間のシナジーを意識した収録が行われていました。この例を見るに『Core2020』で突如再録されたゴブリンの首謀者を活躍させてあげるために、『Core2021』で有能なゴブリンが収録されても何ら不思議はありません。(エルドレイン後のスタンダード環境は部族・ゴブリンデッキを組めるほどの役者は揃っていないため)

そして最後に『ZENDIKAR RISING』。ゼンディカーといえば歴代最強ゴブリンであるゴブリンの先達を生み出した強次元なので、何かしら期待がかかります。

 

去年4月の『ドミナリア』で不遇の時代を終えて以降、ゴブリンは優遇されっぱなしの状態が続いていますが、こうして未来予想すると、明るい将来はまだまだ続きそうです。

モダンのゴブリンはデッキとしての伸びしろがレガシー・ゴブリンよりもあると思うので、今後もレガシーと並列してこちらの方もぼちぼち遊んでいこうと思います。

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