【モダンホライゾン2】貴族の教主をリメイクした新ゴブリン、《下賤の教主/Ignoble Hierarch》が公開!!!

Ignoble Hierarch 新セット

先週木曜日の午前、モダンホライゾン2の新カード《下賤の教主/Ignoble Hierarch》が公開されました。

今回はこの超強そうな新ゴブリンについて第一印象をつらつら書いてみました。

《下賤の教主/Ignoble Hierarch》

 

Ignoble Hierarch

《Ignoble Hierarch》(緑)
クリーチャー – ゴブリン・シャーマン [R]

賛美(あなたがコントロールするいずれかのクリーチャーが単独で攻撃するたび、そのクリーチャーはターン終了時まで+1/+1の修整を受ける。)
(T):(黒)か(赤)か(緑)を加える。

0/1

 

ッッッ~~~!!!

 

下賤の教主のここが素晴らしい!

1.インフレカードではないのに売り上げUPが期待できる

MTGのエターナルフォーマットに限らず、ローテーションがないカードゲームは全てインフレとの闘いです。

  • 弱いカードばかりではユーザーを満足させることができず売り上げがたたない
  • 強いカードばかりでは売り上げは立てどインフレが加速してゲームの寿命を縮めてしまう

このジレンマの中、デザイナーは日々頭に汗をかきながら新しいカードを生み出しているわけですが、中にはそんな思考コストをかけずとも売り上げをUPする方法があります。

それが過去カードのリメイクです。

既に存在するカードであれば、それの別バージョンを刷った場合、環境にどの程度影響を与えるかは簡単に予想できますし、ユーザーから愛されているカードなら最初から需要も見込めます。

今回のケースでいえば貴族の教主は今もモダンでぼちぼち使われている実力者。12年前から存在する愛されカードで、リメイクして往年のファンに訴えるにはもってこいの存在です。その亜種とくれば様々なデッキで使用されることは容易に想像できます。

ゴブリン、シャーマン、ポンザ、緑黒感染などなど・・・今まで貴族の教主を入れたくても色や種族の都合から入れられなかったデッキが、下劣な教主によってオーバーパワーでない程度に(←ココ重要)強化されるならこんなに喜ばしい話はありません。

モダンホライゾン2では版図も引っ張りだしてきて意図的にドメインZooを復興させようとしているようなので、貴族の教主と合わせてそっち方面での需要もあるかもしれませんね。

こうしてみると下劣の教主はまさに『モダンホライゾン』というセットが当初やりたかった目標をスマートに達成しているといっていいでしょう。

変に新機軸のマナクリを出して名誉ある教主のような全く見向きもされないゴミで終わったり、逆に強すぎで死儀礼のシャーマンのような大事故になるリスクも避けられる、とても堅実な新カードだと思います。

 

※ちなみに、インフレカードではないのに環境に一石を投じた例でいえばタルモを相対的に弱体化させたグルマグのアンコウなんかも素晴らしいデザインでした。カードパワーで強引にねじ伏せるだけの下品なインフレ野郎は見習ってほしいもんです。

2.プレイヤーの構築意欲を刺激する

歴代マナクリーチャーとしては上から数えた方が早い貴族の教主がゴブリンになって、おまけに赤マナまで出るとなればこれをゴブリンデッキに入れない手はありません。

(アヴァシンの巡礼者がゴブリンになって白→赤になるだけでも大喜びするレベルだったので)


しかし、モダンにせよレガシーにせよ赤黒のゴブリンデッキで1ターン目に緑マナを要求するマナベースというのはかなり無茶があります。

そのため下劣の教主は思考停止で雑に4積できるものではなく、マナベースに負担をかけるリスクとマナ加速のリターンをしっかり勘定することをプレイヤーに求める1枚となっており、そこがとても好感が持てます。

仮に次元の混乱のような理由付けて下劣の教主が赤かったら、タダ強すぎて喜びはすれど同時にドン引きしていたと思います。

渦まく知識や剣を鋤にのような固定パーツになってデッキは強くなるものの、構築の幅は狭くなり退屈な1枚で終わっていたことでしょう。

 

※デッキ構築の幅を狭めた悪しき例としては最近だと突然の衰微がありました。それまでレガシーの黒入りコントロールは様々な除去を1~2枚づつバラけさせて積むのが主流でしたが、突然の衰微の登場によってそれらはほとんどが衰微に置き換えられオワコン化してしまいました。

昭和の遺物

 

話が脱線しました。

  • 貴族の教主のリメイクを出すことが先に決まっていて後からそれをゴブリンにしたのか?
  • それともモダン・ゴブリンの強化案としてマナクリーチャーを出すことが先に決まっていて、元ネタとして貴族の教主を起用したのか?

真相は分かりませんが、何はともあれゴブリンかつ緑1マナかつマナクリーチャーというのは前代未聞。

もしかしたらタッチ緑なんて止めて従来通りの型が一番強かったですというオチで終わるかもしれませんが、そこに到達するまでのアレコレ考えながらデッキをいじくる過程が楽しいわけです。

デッキ構築は対戦と並んでカードゲームにおける醍醐味、最も楽しい部分なのでゴブリンデッキにおいてはリスクとリターンが絶妙すぎる下劣な教主は本当に構築意欲を刺激する素敵な1枚だと思います。

モダンにおける《下賤の教主/Ignoble Hierarch》の可能性

前置きが異常に長くなりました。ようやく本題です。

下賤の教主を検討する場合、モダンとレガシーで前提条件がだいぶ変わりそうなので別々に分けて考えます。

1マナ圏を埋める完璧な1枚

モダンにはゴブリンの従僕がいません。

そのため霊気の薬瓶スタートを切れなかったときの鈍足っぷりは本当にどうしようもなく、UR果敢などと対峙したときなどは目を覆いたくなるほどの速度差がありました。

そこで従来のモダン・ゴブリンは1マナ枠に疑似的に速度を上げるスカークの探鉱者や、相手の速度を落とすハンデス、除去などを積んで騙し騙しやってきました。

しかしそれらはどれも明確なデメリットがあって、どれもデッキにフィットしていたとは言い難いのが正直なところでした。

スカークの探鉱者

  • リソースを投げ捨てるほど価値のあるゴブリン(具体的にはマクサス)がいない
  • ダブったとき2体目以降が1マナ1/1バニラ
  • 環境にはびこる溶岩の投げ矢、レンと6番、歩行バリスタに対して激弱

思考囲い・コジレックの審問

  • ゴブリンカウントが減るのでデッキの地力が落ちる
  • マナベースを黒に寄せるのでユーティリティランドを積む余地がなくなる
  • 他に妨害手段はないのでハンデス1枚で何かが変わることは滅多にない 中途半端

タール火

  • コントロール・コンボに当たったら紙で終わる
  • 1体除去っても焼け石に水の場合が多い
  • 果敢生物はパンプでかわされることも多々ある

 

 

 

・・・このように、モダンゴブリンの1マナ圏はどれも苦し紛れで穴埋めしたカードばかりなので他のモダン環境におけるアグロデッキのそれと比べると滅茶苦茶弱いです。(ただ、探鉱者は無限環境タイプのゴブリンであればコンボパーツとしての役割も果たせるのでちょっとだけマシです。)

この1マナ圏の弱さは過去の記事でも散々書いたのでそちらもどうぞ

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で、そんな折に現れたのが今回の下劣の教主です。

ゴブリンの従僕ほどではありませんが、全アクションが1ターン早くなるのは本当に強烈。

例えば2ターン目酋長→3ターン目副官と動くことができれば他の高速アグロにも十分対抗できますし、「下劣の教主」「飛び道具の達人」「変わり谷」」と揃っていれば先手2ターン目に魔力変から出てきた嵐翼の精体も返しで撃墜可能です。

それ以外にも、3ターン目に2マナスペル×2、4ターン目に女看守+飛び道具の達人のように手数を増やしてくれるので見た目に役立ちそうです。

体感的にはゴブリンの従僕と霊気の薬瓶の中間くらいのサポートをしてくれる印象です。

このあたりは対人戦をやってみないことにはまだ何ともいえませんが、下賤の教主スタートを切ることができればハンドを沢山抱えたまま消費しきれず頓死、というケースは相当減らせそうです。

避雷針としての価値が高い

モダンのゴブリンは人目を引く詮索者+ボガードの先触れコンボの誕生によってプレイアブルな水準に達したデッキです。

仮にこのコンボが無く劣化・レガシーゴブリンだった場合は今もカジュアルデッキの域は出ていなかったと思います。

そのため1ターン目に除去を打つだけの価値がある下賤の教主の登場は詮索者の生存率UPに貢献し、結果的にコンボ勝ちのゲームを増やしてくれそうです。

仮に下劣の教主が無視されて今まで通り2ターン目の詮索者に除去が打たれたとしても、それなら上であげたように後の展開が全て1ターン早くなるのでそれはそれで良し。

部族デッキは一部の核となるクリーチャーがピンポイントで対処されて後は適当に丸め込まれる、というのがよくある負けパターンです。

それだけに雑魚だらけのゴブリンデッキに除去を当てるだけの価値がある1マナクリーチャーが4枚も入るのは見た目以上に影響が大きいのではないかと思います。

モダンでは減点要素もそこそこある

賛美の恩恵をそこまで享受できるわけではない

マナクリーチャーという面ばかりクローズアップされてついつい忘れがちですが、下劣な教主は賛美持ち(!)です。

面で押すゴブリンにとって大体の場面で賛美は不要の長物ですが、ゴブリンの従僕をバックアップするときだけは話が別。

ルーンの母、秘密を掘り下げる者、僧院の速槍、エルフの開墾者、などなど・・・

それらをチャンプブロッカーにできるの、場合によっては2ターン目にゲームを決める1枚になりかねません。

しかしモダンに従僕はいません。

加えてモダンのゴブリンは隙あらば詮索者コンボを狙うため、賛美でゴリゴリライフを詰める旨味がレガシーほどはありません。

マナクリーチャーとして仕事をするだけで十分ではありますが、そのポテンシャルを100%フル活用はできていないのはちょっと勿体ないように感じます。

溶岩の投げ矢、レンと6番、歩行バリスタの存在

タフネス1に社会の仕組みを叩きこむ

上でも書きましたが、現在のモダンはおそらく全フォーマットで最もタフネス1に人権が無い環境です。

トップメタであるUR果敢と緑白ヘリオッドはナチュラルにタフネス1を殺してきますし、5cミゼットやジャンド、ポンザ等の赤と緑が入るフェアデッキであれば雑に強いというだけでレンと6番が投入されています。

この環境下でタフネス1のマナクリーチャーが盤面に定着し続け延々とマナを出し続けるのは非現実的。頻繁に見るタフネス1キラーが疫病マンくらいしかいないレガシーとは大違いです。

ただ、こればかりはどうしようもないので仕方ないと割り切って諦めるか、酋長を増やしたり何ならサイドから活力の力線を積むくらいができる限界だと思います。

レガシーにおける《下賤の教主/Ignoble Hierarch》の可能性

次はレガシーで下賤の教主を運用する場合について考えて見ます。

モダンと違って賞味期限が長い

上で軽く書きましたが、レガシーはモダンと違って上流階級のゴブリン、マクサス(6マナ)という目指すべき明確なゴールがあります。

そのため下賤の教主の着地が3ターン目だろうが4ターン目だろうがマクサスのキャストに貢献するのであれば中盤以降も腐らない有効牌としてカウント可能です。

仮にマクサスが無い場合でも、レガシーのゴブリンには不毛の大地とリシャーダの港があります。

過去のニューホライズンやグリクシスデルバーで見られた相手の土地を不毛で攻めつつ同時にクロックも展開する詐欺ムーブがゴブリンでもできるようになりました。

その点も加味すると、やっぱりカードとしての賞味期限はやはりモダンより長めではないかと思われます。

もちろん、1ターン目に出して相手の不毛の大地や目くらましをかわすのにも役立ってくれます。

  • 目指すべき明確なゴールがある
  • 土地拘束がモダンよりキツい

以上の二点より下賤の教主はレガシーでも実は結構仕事をしてくれるんじゃないかとひそかに期待してしまいます。

マナベースへの負担がモダンの比ではない

不毛の大地は下賤の教主と相性抜群ですが、相手の使う不毛の大地は大きな懸念材料となります。

たとえば秘密を掘り下げる者スタートの相手に対して、こちら1ターン目にフェッチ起動→Taigaサーチ→下賤の教主と動いて、相手がそれを目くらましでカウンター。返し2ターン目でデルバー変身、不毛セット起動→Taiga破壊とされたらその時点で敗色濃厚です。

従来の赤黒ゴブリンであればフェッチ起動→山スタートにして、仮に初動を対処されようが2ターン目にアクションを起こせるところが、下賤の教主スタートだとこのように最序盤で詰むゲーム展開も余裕であり得ます。

一応《森/Forest》を入れる案もありますが、不毛と港を最低でも6枚、可能なら7枚は積みたいレガシーのゴブリンでそれが許されるかどうかは難しいところ。

また、不毛の大地が存在するためフェッチからの緑マナがTaiga1枚では心もとないというのも不安材料です。2枚目のtaigaや、もしかしたらBayouの採用など何かしらの工夫が求められそうです。

下賤の教主について まとめ

Ignoble Hierarch

モダンとレガシーにおける下賤の教主のメリット・デメリットをまとめると以下のようになります。

メリット デメリット
モダン ・1マナ域が弱いのですんなり入る
・避雷針としての価値が高い
・タッチカラーでの投入が比較的容易
・タフネス1なのですぐに除去られる
・賛美をあまり活かせない
・賞味期限が短い
レガシー ・賛美の価値が高い
・賞味期限が長い
・タッチカラーするのが大変

 

こうして見ると、意外にも下賤の教主はレガシーの方が生き生きと活躍できる・・・?のかもしれません。(1マナ圏に既にゴブリンの従僕と霊気の薬瓶があるレガシーにおいて下劣な教主が必要なのかは大いに検討の余地ありですが)

 

灯争対戦以降、MTGはF.I.R.E理論だか何だか知りませんが新セットが出る度にあらゆるフォーマットで環境激変&禁止連発という大変な状況でプレイヤーもヘトヘトに疲れていました。

それだけに下劣の教主はエターナル環境に負荷を与えず、それでいてプレイヤーをワクワクさせるモダンホライゾン2の中ではよく出来た1枚だと思います。

その証拠に、新カード情報を発信している大手Twitterアカウント『ディミーア家の食卓』でも下劣の教主のRT数は1500オーバー。

 

ネタとして話題を読んだ片目のガース(3200RT)アスモラノマルディカダイスティナカルダカール(2200RT)を除くと、モダンホライゾン2では虚空の鏡(1800RT)に次ぐリツイート数の多さです。

 

 

何か革新的なコンボが発見されたわけでもなく、凄いパワーカードというわけでもない、単なる過去のリメイクカードがここまで反響を呼ぶのは中々驚きです。

いかに下劣の教主が世間から期待されているかがよく分かります。

 

 

下劣の教主の実力はまだまだ未知数ですが、今からモダンホライゾン2の発売日まで首を長~くして待とうと思います。

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